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ANG⁺ブリーフィング

ANG⁺ #4 · 公開重みほか5件

2.8TのKimi K3.1 Proと1兆パラメータのMistral Large 4の重みが公開。安くなったコンピュータ操作モデル、偽Claude Code拡張の確認方法、Claude Duet、Skills寄贈、開発者カレンダーまで。

ANG⁺ #4 · 公開重みほか5件

ANG⁺ = AIが整理し、編集人が確認したブリーフィング

ANG⁺ ブリーフィングの第4号をお届けします。第3号(11月3日)が上場申請書・決算・規制といった大きな数字を扱ったのに対し、今号は自分でダウンロードし、試し、確認できるツールが中心です。10月末〜11月4日に出たもののうち、読者が今週手を動かせるものを選びました。土台はすべて1次資料です — Hugging Faceのモデルカードとライセンス原文、各社の公式記事と開発者向け変更履歴です。

1. 公開重みの巨人2つ — Kimi K3.1 Pro(2.8T)がHugging Faceに、Mistral Large 4(1兆)も重みを公開

中国Moonshot AIが10月24日に発表し「11月4日までに」公開するとしていたKimi K3.1 Proの全重みが、Hugging Faceのmoonshotai/Kimi-K3.1-Proに上がっています。それに先立つ10月29日(UTC)には、フランスのMistralが改良版Mistral Large 4の重みを公開しました。

  • Kimi K3.1 Pro:総パラメータ2.8T、トークンごとに使うのは104Bの混合エキスパート(MoE)モデルで、コンテキストは1,048,576トークン。重みは学習段階から量子化したMXFP4で、ファイルは96個に分かれています。同社の表ではTerminal-Bench 4.0が65.7で、Claude Opus 5.5(66.4)に0.7点差、GPT-6 Astra(58.2)を上回ります。社内の事実正確性ストレステストでは、主張単位の幻覚率がK3の23.4%から8.3%に下がりました。
  • あえて外した能力:公開重み版では、学習データからサイバー関連データを特定して除いたとしています。除去しないチェックポイントは社内の攻撃コード作成ベンチ(xdev-bench-hard)を90.5%解きましたが、公開版は81.0%です。「サイバー能力の絶対的な最前線を押し広げる重みは公開しない」という原則です。
  • Mistral Large 4:欧州のインフラでゼロから学習した1兆(1-trillion)パラメータのマルチモーダルモデルです。プレビュー後3週間の追加強化学習でTerminal-Bench 4.0が13ポイント上がって41%となり、公開重みモデルで首位としています。Artificial Analysisのコーディングエージェント指数は48%でGLM-5.3と並び、タスクあたりのトークンは平均47%少なくて済みます。推論モードはLow・Medium・High(既定)の3つ、APIは100万トークンあたり入力$0.70・キャッシュ入力$0.07・出力$2.10です。
  • ライセンスの共通点:どちらもMITを修正したライセンスで、ダウンロード・改変・商用利用ができます。ただしモデルをAPIで売る事業(MaaS)には条件があります — MistralはMaaSなら別途商用ライセンス、KimiはMaaS事業の売上が連続12か月で$20 millionを超えると別途契約が必要です。Kimiは月間利用者1億人超または月売上$20 million超の製品に「Kimi K3.1-Pro」を目立つように表示する条件も設けています。
私たちの見解:公開重みが最上位のクローズドモデルと1点差まで来て、2社とも「モデルの転売」だけを止める同じ形のライセンスを選んだ。ただし2.8Tは個人が動かせる大きさではない — 多くの読者にとって本当の選択肢は、重みそのものより、これらを載せたホスティング各社の価格競争だ。

原文: Kimi K3.1 Pro model card (Hugging Face) · Kimi K3.1 Pro License (Hugging Face) · Introducing Kimi K3.1 Pro (Moonshot AI) · Mistral Large 4 open weights (Mistral AI)

2. 画面を操作するモデルが安くなった — OpenAI GPT-6.1 Terra、Gemini APIのComputer Useが正式版に

画面を見てクリック・入力する「コンピュータ操作」エージェントを動かす費用が、一段下がりました。

  • GPT-6.1 Terra(10月26日):標準API料金は100万トークンあたり入力$1・キャッシュ入力$0.05・出力$5で、GPT-5.6 TerraやGPT-6.1 Solより50%安くなっています。専門業務ベンチマークAgents' Last Examでは、推論「中」設定でGPT-5.6 Terraの約3分の1の費用で15ポイント高いスコア、Max設定ではタスクあたりの費用がClaude Opus 5.5の約9分の1としています。Terminal-Bench 4.0は50.3%(GPT-5.6 Terra 21.5%)、エラーを誘う社内プロンプト集でのエラー率は低い推論設定で53.6%→16.7%です。
  • 安全性の区分:OpenAIの準備態勢フレームワークでサイバーセキュリティの「Critical」しきい値に達し、GPT-6 Astra向けの保護措置をそのまま使います。ChatGPT WorkとCodexでPlus・Pro・Enterprise・Eduのユーザーが使え、APIのモデル名はgpt-6.1-terraです。
  • Gemini API(10月30日):GoogleはComputer UseツールをInteractions・GenerateContentの両APIで正式版(GA)にしました。6月の公開プレビューから4か月です。
私たちの見解:請求書を読んで会計ソフトに打ち込むような「人が画面を見てやっていた反復作業」をエージェントに任せるうえで、最大の壁は費用だった。同じ週に2社が値下げと正式サポートを出したのだから、先送りしていた自動化があるなら今こそ見積もりを取り直すときだ。

原文: Introducing GPT-6.1 Terra (OpenAI) · GPT-6.1 Terra model page (OpenAI API docs) · Gemini API changelog, October 30, 2026 (Google)

3. Cursorの拡張マーケットに偽のClaude Code拡張 — SSHの裏口を仕込む、1行で確認を

Cursorは10月29日(米太平洋時間)、自社のVS Code拡張マーケットにAnthropicが開発していないAnthropic.claude-code 2.1.312・2.1.313(Windows・macOS)が置かれていたと公表しました。公開されていたのは同日午前2時27分〜午後1時35分(PT)頃です。

  • 何をしたか:攻撃者のSSH鍵をauthorized_keysに追加し、ローカルのSSHを有効にして、リバースSSHトンネルを開こうとしました。macOSではLaunchAgent、Windowsではタスクスケジューラで常駐し、約60秒ごとにトンネルを再試行します。管理者権限のない大半のPCではSSHの有効化に失敗し実際のログインはできませんでしたが、鍵の追加・常駐設定・端末情報の送信は行われたとしています。
  • Cursorの対応:鍵をローテーションし、マーケットを作り直して再開、10月30日に侵害指標(IOC)を更新しました。拡張を削除するだけでは不十分な場合があると書いています — 独立した常駐スクリプトが動き続けるためです。
  • 確認方法(macOS・Linux):ターミナルでgrep -qs svc-telemetry ~/.ssh/authorized_keys && echo "svc-telemetry key found" || echo "No key found; machine not impacted"。鍵が見つかったら告知の駆除スクリプト(Windowsは管理者のPowerShell)を実行し、端末の再構築を検討するよう求めています。
私たちの見解:その時間帯にCursorでClaude Code拡張を入れたり更新したりしたなら、まず上の1行を実行しよう。エージェントツールはターミナルと鍵に手が届く分、拡張ひとつがそのままサーバーの鍵になる。

原文: Security notice — malicious version of Anthropic.claude-code (Cursor)

4. Anthropic Claude Duet — 先に話しかけてくるエージェントアプリ(リサーチプレビュー)

Anthropicは10月21日、Claude Duetをリサーチプレビューとして公開しました。頼む前に気にかけ、席を外しても作業を続け、代わりに行動する前には確認を取るアプリです。

  • 使い方:iOS・Androidの単独アプリとclaude.aiで使えます。毎朝、連携したアプリの重要事項を短くまとめて送り、日中はそれらのアプリを見守って必要なときだけメッセージを送ります。会議の日程調整から、ダッシュボード・財務予測・Webアプリの試作まで任せられます。
  • 誰から:米国のPro・Max・Ultra加入者から順番待ちリストで提供します。Claude Opus 5.5ベースで、プレビュー中はプランの利用量をClaudeのほかの機能と共有し、バックグラウンドの確認も利用量に含まれます。
  • 機微な情報:パスワードやログイントークンはClaude Managed Agentsと同じ設計で直接見ず、行動は自動モードの分類器が承認します。最も厳格な区分の情報を外に送る依頼は、新しい専用分類器と安全用システムプロンプトが拒否します。
私たちの見解:チャットボットは聞かれて答えるが、Duetは自分からやってくる。だからこそ「何を見られるようにつなぐか」がこのアプリの本当の設定画面だ。日本で使えるようになる前に、メールや予定のどこまで任せるかを決めておきたい。

原文: Introducing Claude Duet (Claude)

5. Anthropic、Agent Skills標準をLinux Foundation傘下のAAIFに寄贈 — MCPに続き2つ目

Anthropicは10月22日、エージェントに特定業務の知識と手順を教える標準Agent Skillsを、Linux Foundation傘下のAgentic AI Foundation(AAIF)に寄贈しました。AAIFはAnthropicがBlock・OpenAIと共同で設立した団体で、先にMCP(Model Context Protocol)もここに寄贈しています。

  • どこまで広がったか:2025年12月に標準を公開して以来、ChatGPT・Cursor・GitHub Copilot・VS Codeなど70を超えるエージェント基盤が取り込み、これまでにスキル100万個が公開され、約2億8,000万回インストールされました。
  • 何を渡すか:Agent Skillsの名前とロゴ、GitHubの組織、agentskills.ioドメインまでです。Anthropic・Google・OpenAIなどのエンジニアが個人として標準を管理します。AAIFに加わらなくても引き続き使い、貢献できます。
  • 次の作業:バージョン付きリリース、正式な提案手続き、スキルを書く人・入れる人のためのセキュリティ指針から始めることを提案しました。
私たちの見解:スキルはフォルダひとつとSKILL.md1枚にすぎない。標準が1社の手を離れた今、いま使っているプロンプトや業務手順をスキルにまとめておけば、ClaudeでもChatGPTでもCopilotでもそのまま持ち運べる。ただし3本目のように、他人のスキルを入れることもサプライチェーン確認の対象になった。

原文: Donating Agent Skills to the Agentic AI Foundation (Anthropic)

6. 今週出たもの・カレンダーに書く日付

11月2〜4日に出た小さな変更と、1か月以内にコードを直す必要がある日付をまとめました。

  • OpenAI、Pierreの買収を発表(11月4日):CodexアプリでファイルのブラウズやDiff表示に使われているTrees・Diffsライブラリと、Gitベースのコード保存サービスCode Storageを作った会社です。第3号で取り上げた新しいGitバックエンドPandoに続き、コードレビュー側を加える一手です。オープンソースはそのままオープンソースとし、規制当局の承認などを経て完了するまで両社は別々に運営されます。
  • Claudeのテキスト透かし(11月3日):Claude Mythos 5・Opus 4.7・Sonnet 4.6が生成した文章にAnthropicのテキスト透かしが入ります。Sonnet 4.6でtemperature・top_p・top_kを既定以外にすると入らない場合があります。
  • Claude API message threadsベータ(11月2日):サーバーが会話を保持し、次のリクエストでは新しいメッセージだけを送ればよくなります。最後のリクエストから5分で期限切れ、最後の利用から1時間以内に削除されます。
  • Geminiの声のリミックス(11月4日):既存の声を自然言語の指示で変えて新しい声として保存します(gemini-3.8-flash-tts)。
  • 11月30日:Claude Sonnet 4.5(claude-sonnet-4-5-20250929)がAPIから退役し、Claude Opus 4.8のfast modeが廃止されます。
  • 12月1日:gemini-2.5-proはgemini-3.8-flashへ、gemini-2.5-flashはgemini-3.5-flash-liteへ自動で切り替わり、新しいモデルの料金で請求されます。関数呼び出しやthinking_levelなど互換性のない変更があり、それまでにモデル名を変えるよう求めています。
私たちの見解:自動切り替えは親切に見えるが、料金と挙動が一緒に変わる。12月1日に請求書とエラーログで気づく前に、今週のうちにコードでモデル名を検索しておこう。

原文: OpenAI to acquire Pierre Computer Company, Inc. (OpenAI) · Claude Platform release notes (Anthropic) · Gemini API changelog (Google)